美容ライターとして記事を書くときは、ただ「美容が好き」という気持ちだけでは足りない部分があります。
とくに美容ジャンルは情報の正確性が強く求められ、法律による表現の制限も多いため、注意しなければいけない点がいくつもあります。
この記事では、これから美容ライターを目指す人が知っておきたい“最低限の注意点”を、実務に近い感覚でやさしくまとめました。
不安を減らしながら、安心して書き進められる状態を一緒につくっていきましょう。
1. 美容ライターが注意すべきポイントとは?
(1) 美容ジャンルは“信頼性”が最重要
美容ジャンルは、読者の肌・体・生活に関わる情報が多いため、信頼性が常に求められます。
「なんとなく聞いた情報で書く」「SNSで見たものをそのまま採用する」という書き方は、トラブルにつながりやすく避けるべきです。
信頼性を高める第一歩は、「確かな根拠に基づいて書く」という姿勢を持つこと。
これは初心者でもできる、とてもシンプルで大切な心構えです。
(2) 法律・ルールの理解が欠かせない
美容記事には薬機法・景品表示法・医療広告ガイドラインなど、表現に関わる法律が複数あります。
すべてを深く理解する必要はありませんが、「どんな表現がNGか」を知っておくことで、記事に対する安心感が大きく変わります。
(3) 読者の安全を守る書き方が前提
美容ライターの役割は、情報を“ていねいに翻訳して届ける”ことです。
誇張表現や断定的な言い切りは、読者に誤解を与えてしまう可能性があります。
あいまいな情報は「分かりません」と書いても大丈夫です。
むしろ、その誠実さこそが信頼につながります。
2. 法律上の注意点|やってはいけないNG表現
ここではさらに、法律上の注意点を深掘っていきます。
(1) 薬機法で気をつけたいポイント
薬機法では、化粧品や美容記事において「治療」「改善を保証する」などの断定表現が制限されています。
たとえば以下のような表現は避ける必要があります。
- 「シミが消える」
- 「ニキビが治る」
- 「絶対に効果がある」
美容記事では、薬機法で表現が認められている、化粧品の効果効能の範囲を覚えること。そして効果を“断定しない表現”ことが、基本になります。
(2) 医療法で気をつけたいポイント
医療法で押さえておきたいポイントは、まず“効果の断定表現を避ける”こと。
「必ず効く」「劇的に変わる」「安心安全な治療」などの表現は避け、施術結果は誇張せず事実に基づいたものを記述しましょう
施術説明は、リスク(副作用・ダウンタイム)を必ず併記し、誤認を避けることが大切です。
また、医師の経歴は事実のみを記載し、「名医」「No.1」などの優位性表現は避けます。
全体として、中立性の確保と過度な期待を与えない記述が基本です。
(3) 景表法で気をつけたいポイント
景表法で注意すべき点は、まず「優良誤認」を避けることです。
効果や仕上がりを実際より良く見せる表現――「必ず小顔になる」「短期間で誰でも変わる」など――は、不当表示に該当する可能性があります。根拠のない数値・データ(症例数・満足度・ランキング等)も同様に使用できません。
次に「有利誤認」の回避です。料金・割引・特典について、実態と異なる書き方や、誤解を招く表現はNG。「今だけ」「最安級」など、比較の根拠が示せない言い回しも避けます。
全体として、事実に基づく情報だけを丁寧に提示し、誤認につながる可能性がある表現を避けることが景表法対応の基本です。
3. リサーチの注意点|正確な情報の集め方
(1) SNSや口コミだけを頼らない
SNSの情報は参考にはなりますが、誤情報も多く混ざっています。
記事の根拠にするにはやや不十分なため、あくまで“補助的な意見”として扱います。
(2) 公式情報(企業・行政・論文)を基本にする
もっとも信頼できるのは「公式の一次情報」です。
- 商品の公式サイト
- 厚生労働省の資料
- 論文・学術データ
こうした情報を下支えにして、記事に落とし込むと安心感が生まれます。
(3) 誤情報に気づくためのチェックポイント
- 情報源が不明
- 専門家の監修がない
- 「必ず」「絶対」といった過剰表現が多い
このような情報は慎重に扱いましょう。
(4) 出典を明記して信頼性を高める
出典を記事内に明記するだけで、編集者からの信頼がぐっと高まります。
「このライターは丁寧に調べている」という印象を持ってもらえます。
4. 構成文章の注意点|執筆スタンスから信頼をつくる
(1) 主観が強く出しすぎない
主観や個人の感想は、あくまで“補足情報”。
「私はこう思う」だけでは読者に伝わりにくいため、基本は客観ベースで書くと自然です。
(2) 比較・ランキングで根拠を提示
比較をする場合は、基準や根拠を示すと誤解を防げます。
たとえば「価格」「使用感」「成分」など、比較軸を明確にすることが大切です。
(3) 断定表現を避け余白を残す
美容記事の断定は、法律上の問題だけでなく、読者にとってもリスクがあります。
言い切らずに「〜といわれています」「〜なことがあります」と、少し余白を残す書き方が安心です。
(4) 専門用語は丁寧に解説する
専門用語は、読者にとって理解しにくい場合があります。
注釈や一言そえるだけで、読みやすさと丁寧さが大きく変わります。
5. 初心者美容ライターがつまずきやすい注意点と対策法
(1) 商品レビューの書き方に迷う
レビュー記事では、体験を“事実ベースで淡々と書く”ことがポイントです。
主観的になりすぎず、あくまで商品情報と「私の場合はこうでした」というレビューに留めておくと安心です。
(2) 用語の理解不足で説明が曖昧になる
美容用語は専門性が高いものも多く、深く知っていないと書きにくい場面があります。
わからない用語は、必ず信頼できる出典で調べてから書くようにしましょう。
(3) 自分の意見と事実が混ざる
美容記事では「事実」「感想」を明確に分けて書くと、誤解が起きにくくなります。
- 事実:商品情報(名称、価格、容量など)
- 感想:レビュー(つけ心地、使い勝手など)
読み手にとって読みやすく、編集者からも信頼を得やすい構成です。
6. 信頼される美容ライターになるために大切なこと
(1) 読者の役に立つ情報を“正しく”届ける姿勢
文章のテクニックよりも大切なのは、「正しく届けたい」という姿勢です。
その想いがあるほど、丁寧な記事につながります。
(2) 分からないことは分からないと書く
あいまいなまま書くより、正直に書くほうが信頼されます。
「調べた限りでは分かりませんでした」という表現も、やさしい選択です。
(3) 透明性のある記事作り
出典・根拠・引用元を示すだけで、読者も編集者も安心して読み進められます。
(4) 継続的なインプットと学習
美容ジャンルはアップデートが早いため、日頃から学び続ける姿勢が大切です。
無理のない範囲で、少しずつ知識を積み重ねていきましょう。
7. まとめ|注意点をおさえれば、美容ライターはもっと楽しくなる
美容ライターの仕事には、注意すべきポイントが多くあります。
しかし、それは読者の安全を守るために必要なものでもあり、丁寧に向き合えば自然と身についていきます。
法律の基礎・情報の扱い方・言葉選びに気をつけることで、「安心して任せられるライター」へと一歩ずつ近づいていきます。
焦らず、やさしい姿勢で書き続けていきましょう。
参考文献
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https://www.pressnet.or.jp/ - 共同通信社「記者ハンドブック」
(NDL書誌)https://ndlsearch.ndl.go.jp/ - 文化庁「国語に関する調査」
https://www.bunka.go.jp/ - 海外記事スタイルガイド(AP Stylebook)
https://www.apstylebook.com/ - 研究論文検索:Google Scholar
https://scholar.google.com/ - クリエイティブ・コモンズ(引用・著作権基礎)
https://creativecommons.org/ - 編集工学研究所「文章構造と編集思考に関する資料」
https://www.eilab.org/
美容ライター&コンテンツディレクター。スキンケア・コスメ・美容医療のメディア運営や記事制作を中心に活動中。
日本化粧品検定1級(コスメコンシェルジュ)/化粧品成分検定1級(化粧品成分上級スペシャリスト)


